Nature ハイライト

Cover Story:系統間の差異:がん細胞培養系の大規模スクリーニングは個別化抗がん治療への道をひらく

Nature 483, 7391

がん細胞株は、反応機序や治療に関する手がかりを得るための前臨床モデルとして広く使われている。今週号では2つの論文で、ヒトがん細胞株の大規模な遺伝学的また薬理学的な特徴分析の結果が報告されている。2つのグループはそれぞれ、数百の細胞株について異なったプラットフォームと分析法を用いて解析を行った。得られた結果は相補的なもので、多くのヒトがん細胞株が、対応するがんの遺伝的多様性を表現していることが確認された。手始めに得られた知見の中には、薬剤感受性や薬剤抵抗性の複数マーカー候補の同定などがある。例えば、Garnettたちは、ユーイング肉腫でよく見られるEWS-FLI1遺伝子転座と、ほかのがんに対する臨床試験が現在進行中のPARP阻害剤類に対する感受性の間に関連があることを報告している。また、Barretinaたちは、SLFN11発現とトポイソメラーゼ阻害薬に対する感受性の間に関連があるらしいことを報告している。(Article p.570; Letter p.603; N&V p.544)表紙は分裂中の繊維肉腫細胞。

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