Nature ハイライト
Cover Story:「使える」亀裂:材料破壊をうまく使ってナノ構造を加工する
Nature 485, 7397
亀裂伝播は、通常、材料破壊を伴うので避けるべき事象である。しかし、適切な場所で発生させれば、亀裂も役に立つ可能性がある。今回、韓国の研究チームが、亀裂の発生、伝播、停止をうまく使って、シリコン基板上に堆積させた窒化ケイ素薄膜にパターンを形成する手法を開発した。Namたちは、基板上への堆積の際に応力が集中して自然に亀裂が発生するように、シリコン基板に切り込みを入れている。また、3種類の亀裂伝播様式を明らかにして、シリコン基板に多段構造を形成して特定の位置で伝播が止まるようにした。さらに、光の屈折に似せて、亀裂を曲げられることも示している。この考え方は、破壊力学を使うことで、ナノテクノロジーやマイクロ流体素子などへの応用に関して、ナノ加工やパターン形成に新しい可能性を開くものだ。表紙は、この技術を使ってシリコン基板に刻み込んだ構造である。(Letter p.221, N&V p.177)
2012年5月10日号の Nature ハイライト
細胞:ZNRF3タンパク質はWntシグナル伝達を抑制する
構造生物学:ATP依存性P2X受容体の構造
宇宙:フレアからブラックホールを探る
地球:危機に瀕するウェッデル海の海氷
農業:作物収量を比較する
遺伝:自閉症の遺伝学的不均一性
医学:心不全とミトコンドリアDNAの関連
医学:白血病の治療標的であるFLT3