Nature ハイライト

Cover Story:「使える」亀裂:材料破壊をうまく使ってナノ構造を加工する

Nature 485, 7397

切り込みや亀裂止め構造などにより制御された基板上の亀裂。
切り込みや亀裂止め構造などにより制御された基板上の亀裂。 | 拡大する

Credit : Koo Hyun Nam

亀裂伝播は、通常、材料破壊を伴うので避けるべき事象である。しかし、適切な場所で発生させれば、亀裂も役に立つ可能性がある。今回、韓国の研究チームが、亀裂の発生、伝播、停止をうまく使って、シリコン基板上に堆積させた窒化ケイ素薄膜にパターンを形成する手法を開発した。Namたちは、基板上への堆積の際に応力が集中して自然に亀裂が発生するように、シリコン基板に切り込みを入れている。また、3種類の亀裂伝播様式を明らかにして、シリコン基板に多段構造を形成して特定の位置で伝播が止まるようにした。さらに、光の屈折に似せて、亀裂を曲げられることも示している。この考え方は、破壊力学を使うことで、ナノテクノロジーやマイクロ流体素子などへの応用に関して、ナノ加工やパターン形成に新しい可能性を開くものだ。表紙は、この技術を使ってシリコン基板に刻み込んだ構造である。(Letter p.221, N&V p.177)

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