Nature ハイライト

宇宙:フレアからブラックホールを探る

Nature 485, 7397

ブラックホールの周辺で発生するフレアのシミュレーション画像。
ブラックホールの周辺で発生するフレアのシミュレーション画像。 | 拡大する

Credit : NASA, S. Gezari (The Johns Hopkins University, Baltimore, Md.), A. Rest (Space Telescope Science Institute, Baltimore, Md.), and R. Chornock (Harvard-Smithsonian Center for Astrophysics, Cambridge, Ma.).

遠方銀河の中心にある超大質量ブラックホールは、通常見ることができない。しかし、時たま、それらの存在が、ブラックホールに降着していく恒星の潮汐破壊で発生するフレアという形で明らかになることがある。このような事象はめったにないうえに、その後期段階しか見られないことが多い。しかし今回、S Gezariたちは、赤方偏移0.1696に位置する活動していない銀河の中心核領域から生じた紫外線と可視光フレアの詳細な観測について報告している。フレアは2010年5月31日に最初に観測され、7月にピークとなり、9月までに終わった。観測された連続スペクトル光は、単純な降着デブリ円盤に対して予想されるものより低温だが、光度曲線の増加と減少は十分にサンプリングされており、予測された質量降着率に従っている。ブラックホールの質量は太陽質量の約200万倍で、破壊された星はヘリウムに富んだ恒星コアを持っていたことが、束縛されていないデブリから得られたイオン化したヘリウムの分光学的特徴に基づいて推定されている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度