Nature ハイライト

Cover Story:「鯨飲」のための装備:ナガスクジラ類の「突進採餌」を助ける独自の感覚器官

Nature 485, 7399

ナガスクジラ(左)とその顎で新たに発見された感覚器(右)。
ナガスクジラ(左)とその顎で新たに発見された感覚器(右)。 | 拡大する

Credit : Art by Carl Buell, arranged by Nicholas D. Pyenson / Smithsonian Institution

ナガスクジラ類には、絶滅したものであろうと、現生のものであろうと、既知の最大の脊椎動物が属している。ナガスクジラ類は何百年にもわたって捕鯨の対象となってきたために、その自然史はよく知られているが、生体力学的特徴や形態の詳細については不明な部分が多い。ナガスクジラは「突進採餌(lunge feeding)」と呼ばれる採餌方法を発達させた。これは脊椎動物の中ではきわめてまれな方法で、高速で泳ぎながら、魚やオキアミなどの餌が多く含まれる大量の水を飲み込む。今回、学際的研究チームが、ミンククジラなどのナガスクジラ類の顎にこれまで知られていなかった感覚器があることを発見した。この器官は、突進採餌の調整できわめて重要な役割を果たしている。これは祖先の最前列歯槽に由来する血管および神経組織で形成されており、それに含まれる機械受容器は、突進時の顎の位置の急激な大きい変化や喉の袋の拡張を記録している。表紙は、メキシコのバハカリフォルニア州沖でイワシを捕食中のニタリクジラ(Balaenoptera edeni)である。(Letter p.498)

目次へ戻る

プライバシーマーク制度