Nature ハイライト 環境:樹木の年輪がとらえた8世紀の宇宙事象 2012年6月14日 Nature 486, 7402 樹木の年輪中の炭素14(14C)濃度は、宇宙線強度の指標として用いることができる。それは、14Cが大気窒素と宇宙線中性子の相互作用によって生じるからである。今回、日本の杉の木2本について、年輪の高分解能分析が行われ、西暦774〜775年の期間に14C含有量が約12‰増加した証拠が得られた。これは、太陽活動の通常の変動で起こりうる変化の約20倍で、西暦775年前後に宇宙環境中できわめて高エネルギーの事象が起こったと推論される。しかし、現時点では超新星爆発、大規模太陽フレアのいずれについても裏付けとなる証拠がないため、14C増加の原因は今のところ不明である。 2012年6月14日号の Nature ハイライト 微生物学:ヒト腸内マイクロバイオームの多様性 植物:ようやく見つかったサリチル酸受容体 宇宙:まだ謎が残るスターバースト天体HDF 850.1 環境:樹木の年輪がとらえた8世紀の宇宙事象 計測:原子分解能の電子線トモグラフィー 脳:大脳基底核による遠隔学習 医学:自閉症にかかわるシナプス異常 細胞:サルモネラ属病原体へのRNAにコードされたメッセージ 目次へ戻る