Nature ハイライト

宇宙:まだ謎が残るスターバースト天体HDF 850.1

Nature 486, 7402

HDF 850.1が確認されたハッブル深宇宙画像の領域。中央の印はサブミリ波銀河の位置。
HDF 850.1が確認されたハッブル深宇宙画像の領域。中央の印はサブミリ波銀河の位置。 | 拡大する

Credit : STScI / NASA, F. Walter (MPIA)

遠方宇宙をとらえたハッブル深宇宙画像で最も明るいサブミリ波電波源はHDF 850.1 として知られており、精力的な探査にもかかわらず可視光や近赤外波長領域では検出されない謎めいた天体であることがわかっている。より短い波長での対応天体が見つからないため、この天体の赤方偏移や大きさ、質量を直接見積もることはできていなかった。今回、ミリ波分子輝線のスキャン観測により、HDF 850.1の赤方偏移がz≈5.2であることが確定された。この値は予想よりもずっと高く、ビッグバン後わずか11億年という宇宙年齢に相当する。新しいデータをもとにした計算から、この天体は、年当たり太陽質量の850倍という高い星形成率と、太陽質量の1.3×1011倍という質量を持つと考えられる。しかし、光を放つ対応天体が存在する形跡はまだ得られていない。

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