Nature ハイライト 地球:地球の大気が月で見つかった 2005年8月4日 Nature 436, 7051 月には地球大気に起源をもつ物質が埋まっていると、今週号で小嶋稔たちが報告している。月の表層砂中に窒素が過剰に見られることは、地球と月がともに形成された直後、そして地球に磁場が出現する前に、窒素が地球から散逸して月に流入したとすると説明できるようだ。 塵に富んだ月の表面に含まれる窒素は、その起源が長い間謎とされてきた。この研究グループは、地球の上層大気で窒素分子が壊れてできた窒素イオンが散逸し月に到達したのだと述べている。しかし、このようにして多量の窒素が供給されるためには地球に磁場が存在しないことが必要で、さもないと散逸率は極めて低くなってしまう。 小嶋たちは、地球のコア内で液体の鉄が循環して地球磁場が出現した時期が、月の表層砂の窒素に記録されている可能性があると考えている。このような循環は地球が形成された直後に始まったとされることが多いが、確実ではない。将来、この表層砂が解析され、窒素の量がある特定の時代より古い表層砂に著しく多いことがわかれば、その時代に地球磁場が出現し、地球から月への窒素の供給が止まったことが明らかになるだろう。 2005年8月4日号の Nature ハイライト 医学:癌の抑制で細胞が停止状態に 進化:歯が物語る初期人類の食事メニュー 遺伝:トウモロコシの粒がむき出しになるまで 材料:単一分子の導電率を測る 地球:地球の大気が月で見つかった : 目次へ戻る