新しい種類の渦巻き状構造が地球磁気圏で発見された。地球を囲むこの領域では、地球磁場が外部大気圏と太陽風における荷電粒子(イオン)の挙動を支配している。 D Sundkvistたちは、この磁気圏内部におけるイオンの希薄な気体、すなわち「プラズマ」中に、直径数十kmの渦を発見した。今回のデータは、2000年にヨーロッパ宇宙機関が磁気圏の形状を精密に調べるために打ち上げた、クラスターミッションと呼ばれる4機の宇宙衛星群から得られたものである。 この渦はドリフト運動論アルヴェーン渦と呼ばれ、磁気圏に存在すると予測されていたが、今まで観測されたことがなかった。昨年、別の研究チームが、このクラスター衛星が、直径が数千kmのケルビン‐ヘルムホルツ渦と呼ばれる別種の磁気圏構造を検出したことを報告した。 これらの渦は、どちらのタイプも磁気圏プラズマ中の乱流を示す特徴である。これらの渦によって、太陽風中のイオンが、普通は地球をそのような粒子から遮蔽する磁気シースに「穴」を開けることができるようになる。その結果、さまざまなタイプの「宇宙天気」が生じ、これが上層大気圏を通過する電波通信シグナルを混乱させてしまう。