赤血球のヘモグロビンタンパク質は体中の組織に酸素を運ぶという重要な役割を担っている。ヘモグロビン産生の減少、あるいはヘモグロビン内に含まれるヘム分子の減少は貧血につながることがある。今週号には、ヘム産生とタンパク質上での鉄-硫黄クラスターの組み立てという2つの基本的なプロセスの間の今まで知られていなかった関係が報告されている。 L Zonたちは、shirazと呼ばれるゼブラフィッシュ変異体で見られる貧血が、glutaredoxin 5遺伝子の欠陥が原因であることを明らかにした。この遺伝子は、酵母での鉄-硫黄クラスターの組み立てに不可欠である。今回、この遺伝子がゼブラフィッシュでも同じ機能を果たしており、また変異体ゼブラフィッシュでは、組み立てられた鉄-硫黄クラスターの不足もヘム分子の産生を阻害することがわかった。これらの結果に基づいて、鉄-硫黄クラスターの欠乏がヒトの貧血の原因として見落とされているかもしれないとZonたちは考えている。