Nature ハイライト 動物行動:ホルモン増産は勝ち目のあるときだけ 2005年9月8日 Nature 437, 7056 魚類の雄では闘争によって雄性ホルモン(アンドロゲン)の増産応答が引き起こされるが、この応答が起こるか起こらないかが勝敗の見込みによって決まる例がBrief Communicationsで報告されている。R F Oliveiraたちは、カワスズメ(Oreochromis mossambicus)の雄では、たとえ激しい対決をした後でも勝ち負けが決まらない場合には、攻撃性を高めるアンドロゲンが増産されないことを見つけた。どうやら、自分に勝ち目がある場合にだけアンドロゲンが急増するらしい。 Oliveiraたちはカワスズメの雄を7日間隔離した後、水槽の一端に鏡を置いた。雄は、鏡に映った自分の姿を自分だと認識せず、侵入者だと思ってしだいに攻撃を強める。しかし、この勝負は当然のことながら決着がつかない。この仮想敵との戦いを行った雄ではアンドロゲン量は変化せず、鏡で自分の姿を見ていない対照用の雄と同じくらいだった。Oliveiraたちによると、これは1つの適応機構であって、雄が自分に勝負を仕掛けた相手の闘争能力をいったん相対評価して見きわめてから、ホルモン応答を増進させて自身の社会的地位を高められるようにしているのではないかという。 2005年9月8日号の Nature ハイライト 地球:土壌中の炭素が大規模に失われている証拠 宇宙:ケレスを輪切りにしてみると 古気候:トロピカル・コネクション 動物行動:ホルモン増産は勝ち目のあるときだけ 細胞:皮を厚くする細胞分裂の仕組み : 目次へ戻る