植物ホルモンの1つであるオーキシンの存在は、1880年代という昔にチャールズ・ダーウィンによって既に予測され、70年以上も前に発見された。しかし、オーキシンは植物の成長や発生のほとんど全ての局面で、非常に重要な役割を果たしているにもかかわらず、その影響がどのような仕組みによるものかはほとんど解明されていなかった。今週号では2つの研究グループが別々に、オーキシンの特異的な標的、つまり、なかなか見つからなかったオーキシン受容体を同定したことを報告している。 S KepinskiとO Leyser、またN Dharmasiriたちは、この問題にそれぞれ異なった方法で取り組み、オーキシンがTIR1と呼ばれるタンパク質と直接結合することを明らかにした。TIR1は、別のタンパク質の分解を促進する複合体の一部を形成している。オーキシンはTIR1に結合して、この分解複合体を活性化する。その結果、植物の発生に必要な特定の遺伝子群の活性化を阻害していた転写抑制因子タンパク質ファミリーが分解される。 News and Viewsでは、J Callisが今回の発見の重要性を力説し、「豆や麦はどうやって育つ」といった、わかっているようでわかっていなかった問題にも、近々しっかり答えられるようになるかもしれないと述べている。