Nature ハイライト

宇宙:宇宙を再現するシミュレーション

Nature 435, 7042

宇宙の成長に関するこれまでで最大規模のシミュレーションを実行した結果が、今週号に掲載されている。これは、暗黒物質と呼ばれる謎の成分の影響下で銀河や銀河団が成長するようすを追跡したものだ。暗黒物質は、現在あるような姿に銀河を進化させるのに一役買っていると考えられている。  VirgoコンソーシアムのV Springelらは、暗黒物質を表す百億個の質点がビッグバンのわずか数億年後から宇宙の進化に影響を及ぼすようすをシミュレーションで再現した。これにより、宇宙に存在するさまざまな構造が数十億年にわたって変化成長するようすを研究することが可能になった。  たとえばこのシミュレーションでは、中心に超大質量ブラックホールを持つ銀河は十分早く形成され、最初のクエーサーのホスト銀河になりうるという結果が示されている。暗黒物質理論に批判的な立場からすれば、ビッグバン後どのようにしてそれほど速やかにクエーサーが形成されたのかを、この理論で説明できるのかどうか疑わしかったのだ。  「このシミュレーションによって、宇宙の始まりから現在までの銀河やクエーサーの性質について、現状で最も詳細かつ正確な理論的予測ができる」と、N Gnedin はNews and Viewsで語っている。

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