Nature ハイライト 技術:NMRナノデバイス 2005年4月21日 Nature 434, 7036 新型の極めて小さい核磁気共鳴(NMR)デバイスが今週号に紹介されている。このナノデバイスを作るため、遊佐剛たちは電気的に制御できる半導体構造を作製した。この新しい極小デバイスはそれ自体に必要なものをすべて備えており、従来型のNMR技術で使われる大型の電磁ピックアップコイルは必要ない。一般的なNMR分光法は、生物学から物理学まで構造イメージングや基礎研究などに広く使われているが、この方法はスピンと呼ばれる原子核の量子力学的性質を追跡するものだ。新しいシステムでは、このスピンの感度の高い直接検出が可能になる。さらに、一般的なNMRでは通常「見えない」、多数のスピン準位の重ね合わせによって生じる量子力学状態にアクセスできる。このような状態を検出できるため、このナノデバイスは量子情報処理への応用に適したものになる可能性がある。近い将来、これによって、閉じ込められた相互作用電子の研究、そしておそらくタンパク質の分光学的研究も容易になるであろう。 2005年4月21日号の Nature ハイライト 遺伝:イネいもち病菌のゲノム配列を解読 生態:種分化は種の多様性に押し進められる 地球:活動するヒマラヤ断層を発見 技術:NMRナノデバイス 動物行動:ハヤブサから逃れるための尾羽 地球生物学:強酸性の岩に住み着く微生物 : 目次へ戻る