今週号の研究成果によれば最近70年間は、黒点の活動が過去8,000年間で最も長くて活発な期間であるという。S K Solankiたちは、樹木の年輪に含まれる重い同位体炭素(炭素14)を研究し、過去のおよそ11,000年間にわたる黒点の活動記録を再現した。黒点は、太陽磁場が太陽表面で「締め付けられる」際に発生し、地球に向けて飛び出す荷電粒子がこの磁場により増加する。さらにこれらの荷電粒子は、通常なら地球大気に衝突するはずの宇宙線を偏向させる。このことは、大気中の宇宙線核反応で生成される炭素14が減少することを意味する。そこで、樹木がこの炭素を吸収すると、太陽表面の歴史の記録がその樹木に間接的に保存されることになる。「このモデルは、17世紀にほとんど黒点が存在しなかったことから現在の高い活動レベルまで、観測された黒点の記録をきわめてよく再現する」と、P ReimerがNews and Viewsで語っている。この黒点の記録によって、太陽が気候変動に与える長期の影響と太陽磁場の活動の変化とを追跡することが可能になるはずだ。太陽から放出される光量と熱量の変動が、なんらかの形で黒点や気候変化に関係していると考える研究者もいる。しかしこの論文の著者らは、現在が黒点の活動の活発な期間であることが、最近の地球温暖化の主要原因とはなりそうもないと語っている。