Nature ハイライト

医学:クリプトスポリジウムのゲノム解読

Nature 431, 7012

水系に広く見られ、ときに致命的ともなる下痢を引き起こす寄生虫ヒトクリプトスポリジウムCryptosporidium hominisのゲノムが解読された。現在、この病気の治療法はないが、今回の解読によって、薬剤の標的となる可能性のあるタンパク質がいくつも見つかった。 ヒトクリプトスポリジウムのゲノムは920万塩基対からなるが、G Buckたちはこの生物の遺伝子が、生活様式にすばらしい適合を見せていることを発見した。たとえば、酸素の豊富な汚水中や、酸素は少ないが栄養素の豊富なヒトの消化管細胞中のどちらでもうまく生きていけように、異なる種類の代謝遺伝子群が含まれている。 これらの代謝経路のどれかを薬剤で阻害できるかもしれないし、また、その中のタンパク質が将来ワクチンに利用できる可能性もあるとBuckたちは述べている。クリプトスポリジウム症は世界各地に見られ、免疫系の弱い人の場合には死亡することもある。1993年にウィスコンシン州ミルウォーキーで起こった飲料水汚染による大流行では、患者数は40万人以上にのぼった。

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