Nature ハイライト 環境:変動する南極の寒さ 2004年11月18日 Nature 432, 7015 南極や北極には大気の渦が存在し、両極域の寒さを維持するのに一役買っている。このような回転する気流は、南極域と北極域をより温暖な他緯度域から遮断している。最近の気流の回転の強まりは、人間活動による気候変化やオゾン層の破壊と関連しているのではないかと考えられてきた。しかし今週号のBrief Communicationsで、この推測に対する反証が示された。南極振動指数は、南極渦の強さを表す。J JonesとM Widmannは、この指数がかつて1960年代に、渦が強いことを示す大きな正の値だったことを見出した。これは、オゾン破壊物質が大気中に放出され、また人間活動による温暖化が顕著になる以前のことである。過去数十年の傾向を広い背景のなかで捉えることが可能になったのは、新しい統計モデルのおかげである。長期的に見ると最近の変動は、自然な変化に近いようにみえる。JonesとWidmannによれば、火山噴火や入射太陽光の変化といった自然現象が、南極振動指数に大きな変動をもたらしているようである。 2004年11月18日号の Nature ハイライト 医学:癌幹細胞に新たな証拠 Insight:癌の拡大 材料:無秩序結晶を用いた光学機器 環境:変動する南極の寒さ 環境:都市化が先か温暖化が先か? 進化:赤ん坊を宿した爬虫類の化石 目次へ戻る