Nature ハイライト 細胞:赤ちゃんの命をつなぐ栄養リサイクル 2004年12月23日 Nature 432, 7020 赤ちゃんは、胎盤からの栄養供給を絶たれ、まだミルクを吸い始めていない誕生直後、突然厳しい飢餓状態におかれる。今回、赤ちゃんがこの期間を乗り切れるのは、自身の細胞の内容物を栄養としているためであることがわかった。マウスの新生仔を対象に、水島昇たちは、自食作用(オートファジー)と呼ばれる細胞現象が誕生直後に高まり、数時間活発な状態に保たれると報告している。自食作用の際、細胞は自食胞と呼ばれる消化機能をもつ袋状の小器官内で細胞質の成分を分解する。自食胞を形成できないように遺伝子操作したマウスは、生後一日以内に死んでしまい、アミノ酸量が著しく減少していることがわかった。水島たちは、エネルギー源として、また新しいタンパク質の構成単位として用いられるアミノ酸の産生に、誕生直後の自食作用が不可欠であると示唆している。 2004年12月23日号の Nature ハイライト 宇宙:火星の火山と氷河の証拠 生物工学:もっと安くできる遺伝子合成 医学:インスリンが両刃の剣になる理由 物理:冷やして静かになった微小レバー 細胞:赤ちゃんの命をつなぐ栄養リサイクル : 目次へ戻る