Nature ハイライト

進化論:ショウジョウバエの精子が巨大な理由

Nature 533, 7604

ショウジョウバエの一種(<i>Drosophila bifurca</i>)の雌が持つ、長さが8 cm近くもあるらせん状の受精嚢。
ショウジョウバエの一種(Drosophila bifurca)の雌が持つ、長さが8 cm近くもあるらせん状の受精嚢。 | 拡大する

Credit: Scott Pitnick

ショウジョウバエの雄は、おそらく知られている中で最も極端な性的装飾を備えている。体長がせいぜい3 mmほどであるにもかかわらず、精子の長さが5 cmを超えることもあるからだ。しかし、性選択を受けている雄は、貴重な資源を少数の巨大精子の生産に投入するのではなく小型の精子を多数作ると考えられるため、こうしたショウジョウバエの巨大精子の存在からは矛盾が生じる。今回S Pitnickたちは、「優良」遺伝子と「ランナウェイ」過程の両方がこの矛盾の解決に寄与することを明らかにした。まず、精子の生産は雄の状態と関係しており、質の高い雄のみが、高コストの巨大精子を生産できる資源を持っている。しかし、これは雌がある程度加担しなければ機能しないと考えられる。つまり、雌が大きな受精嚢を備えれば、そこにすっぽり収まる大型の精子が、別の交尾で注入された小さな精子を排除できるので競争的に有利になるはずである。精子の長さは、ランナウェイ説の動態のような仕組みで受精嚢の長さと共進化している。

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