Nature ハイライト
構造生物学:抗生物質の標的の構造
Nature 533, 7604
ペプチドグリカン生合成は、抗生物質の標的として定評がある。この生合成過程の第1段階を触媒する酵素がMraYで、これに対する阻害物質は自然界に多数存在するが、その阻害機構に関する構造的知見が得られていないことが、この酵素を標的とする新しい阻害物質の設計を妨げている。今回S Leeたちは、超好熱性細菌Aquifex aeolicus由来のMraYが天然のヌクレオシド阻害剤であるムライマイシンD2(MD2)と複合体を形成した状態の結晶構造を解いた。この構造から、MraYはMD2が結合すると活性部位付近で大規模なコンホメーション再編成を起こし、それによってヌクレオシド結合ポケットとペプチド結合部位が生じることが明らかになった。
2016年5月26日号の Nature ハイライト
神経科学:ケタミン代謝産物の抗うつ作用
幹細胞:造血幹細胞の形成を解明
がん:ギャップ結合形成阻害剤による転移の減少
細胞生物学:ミトコンドリアおよび核での発現を調整する
宇宙物理学:赤い間欠泉が決める星形成の上限
大気科学:清浄な空気中でのエアロゾル粒子の形成
進化論:ショウジョウバエの精子が巨大な理由
マイクロバイオーム:ヒト腸内細菌相のメタゲノム解析
免疫学:CD4陽性T細胞は神経組織への抗体の移行を可能にする
構造生物学:抗生物質の標的の構造