Nature

Cover Story: 重複の効果:全ゲノム重複が実験室で5000世代にわたって多細胞の適応進化を駆動した

Nature 639, 8055 (2025年3月20日)

全ゲノム重複(WGD)は真核生物で適応進化を促進する可能性があるが、それがどのように起こり、持続して、適応に寄与するかは、よく分かっていない。今週号ではW Ratcliffたちが、多細胞の「スノーフレーク」酵母(Saccharomyces cerevisiae)において、WGDが発生し、数千世代にわたって安定に持続し得ることを明らかにしている。彼らは、サイズの増大を強制する選択条件下で、酵母が細胞内の染色体を2組から4組へと急速に進化させることを見いだした。この「四倍性」は50日以内に出現し、ゲノムの不安定が認められるにもかかわらず、少なくとも950日間(約5000世代)持続した。研究チームは、この現象が出現し維持されたのは、それが選択圧に応答して即時の進化的有利性をもたらし、より大きく長い細胞を形成して、より大規模な多細胞クラスターを生み出したためだと結論付けている。さらに、重複ゲノムの不安定性は、特定の染色体の獲得および喪失(異数性)を引き起こし、細胞のさらなる伸長を促して、600日以内に肉眼で確認できる多細胞性を生み出した。表紙は、この効果を示す進化したスノーフレーク酵母の画像で、WGDと異数性の結果生じた、より大きな核(黄色)とより大きく長い細胞(青緑色)が観察できる。

今週の目次とハイライト The Nature Top Ten バックナンバー

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その他のハイライト

Nature 創刊150周年記念特集

Nature ダイジェスト

Nature は次に何をすべきか

2020年4月号

Nature が150周年を迎えたのを機に、その価値観と、Nature を改善する方法について考えることにした私たちは、読者の意見をどうしても聞きたくて、アンケート調査を実施しました。

イベントレポート

日本の科学の未来
― 持続可能な開発目標の達成に向けたビジョン ―

1869年創刊のNature は今年150周年を迎える。これを記念するシンポジウムが東京大学安田講堂で開催され、日本の科学のトップランナーである大隅良典氏、柳沢正史氏や、Nature 編集長のMagdalena Skipperらが集った。日本の科学の未来を各氏はどう見ているか。自らの研究や体験をもとに語り、意見が交換された。

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著者インタビュー

柳沢 正史氏

「私」とNature  混沌状態をすっきりさせるような研究が好き

長田 重一氏

長田重一大阪大学免疫学フロンティア研究センター教授は、アポトーシス(プログラム細胞死)の分子メカニズムの解明など、すばらしい業績を残してきた。いくつもの論文が引用ランキングに並ぶ。その始まりは、1980年に成功したインターフェロンα遺伝子のクローニングだった。

柳沢 正史氏

「私」とNature  “ねむけ”の謎を解明したい

柳沢 正史氏

筑波大学大学院時代に見つけた血管収縮物質が世界の研究者の注目を集め、米国テキサス大学にスカウトされて1991年に渡米。後を追って留学してきた後輩の櫻井武(現・筑波大学 国際統合睡眠医学科研究機構;IIIS)とともにオレキシンを発見する。この脳内の神経伝達物質が睡眠と覚醒に関係していることから、本格的に睡眠学の研究を開始。現在IIISを主宰して、「ねむけとは何か」の解明を目指している。

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