Nature ハイライト
Cover Story:原子がはっきり見えた:単粒子クライオ電子顕微鏡によって実現された原子分解能でのタンパク質の撮像
Nature 587, 7832
近年、クライオ電子顕微鏡法の進歩によって、生体分子を極めて詳細に解像できるようになった。しかし、通常のクライオ電子顕微鏡の分解能の限界は3 Å程度であるため、より微細な要素を解明する上ではまだX線結晶学に後れを取っている。今週号の2報の論文では、単粒子クライオ電子顕微鏡法を用いて原子分解能でのタンパク質の構造解析が実現されており、この状況が一変している。一方の論文では、S Scheresと R Aricescuたちが、新たな電子源、エネルギーフィルター、カメラを用いて、アポフェリチンの1.22 Åの分解能の構造(表紙の画像)とGABA-A受容体の1.7 Åの分解能の構造を報告している。もう一方の論文では、H Starkたちが、新たに開発したクライオ電子顕微鏡を用いて、アポフェリチンの約1.24 Åの分解能の構造を提示している。どちらの方法も、構造に基づく薬物設計により広く用いられる手法への道を開くのに役立つはずである。
2020年11月5日号の Nature ハイライト
天文学:銀河系内の高速電波バースト
天文学:銀河系内のマグネターからの高速電波バースト
天文学:マグネター起源のγ線バーストと同時には検出されなかったパルス状電波放射
原子核物理学:中性子が原子核からこぼれ落ちる理由
生態学:西アフリカのサハラ地域とサヘル地域には多数の木がある
植物科学:寄生植物の認識
内分泌学:明らかにされた脂肪細胞の不均一性
微生物学:植物の根の発達を支配する細菌
がん:CD4+ T細胞におけるTGF-βシグナル伝達の阻害はIL-4依存的様式で腫瘍増殖を制限する
細胞生物学:細胞死と健康のバランス