Nature ハイライト
植物科学:寄生植物の認識
Nature 587, 7832
植物が、特に宿主植物と寄生植物との相互作用の状況下で非自己のシグナルをどのように感知してそれに応答するかについては完全には明らかになっていない。宿主由来のキノン化合物は、根に寄生する植物での吸器(栄養摂取のための特殊な構造)の発生の誘導に役割を担っていることが知られている。白須賢(理化学研究所ほか)たちは今回、キノン化合物である2,6-ジメトキシ-1,4-ベンゾキノン(DMBQ)が寄生植物にどのように認識されるのかを調べた。その結果、寄生植物では、ロイシンリッチリピートファミリーの受容体様キナーゼであるCARD1(CANNOT RESPOND TO DMBQ 1)がキノン化合物の認識を行い、吸器の形成を仲介することが明らかになった。興味深いことに、CARD1は、非寄生植物のキノン化合物感知において、異なる役割を担っていることが分かった。シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)では、DMBQはCARD1依存性の免疫応答を誘導し、この応答が細胞質ゾルのCa2+濃度上昇と防御関連遺伝子の発現亢進を引き起こす。
2020年11月5日号の Nature ハイライト
天文学:銀河系内の高速電波バースト
天文学:銀河系内のマグネターからの高速電波バースト
天文学:マグネター起源のγ線バーストと同時には検出されなかったパルス状電波放射
原子核物理学:中性子が原子核からこぼれ落ちる理由
生態学:西アフリカのサハラ地域とサヘル地域には多数の木がある
植物科学:寄生植物の認識
内分泌学:明らかにされた脂肪細胞の不均一性
微生物学:植物の根の発達を支配する細菌
がん:CD4+ T細胞におけるTGF-βシグナル伝達の阻害はIL-4依存的様式で腫瘍増殖を制限する
細胞生物学:細胞死と健康のバランス