Nature ハイライト

植物科学:寄生植物の認識

Nature 587, 7832

植物が、特に宿主植物と寄生植物との相互作用の状況下で非自己のシグナルをどのように感知してそれに応答するかについては完全には明らかになっていない。宿主由来のキノン化合物は、根に寄生する植物での吸器(栄養摂取のための特殊な構造)の発生の誘導に役割を担っていることが知られている。白須賢(理化学研究所ほか)たちは今回、キノン化合物である2,6-ジメトキシ-1,4-ベンゾキノン(DMBQ)が寄生植物にどのように認識されるのかを調べた。その結果、寄生植物では、ロイシンリッチリピートファミリーの受容体様キナーゼであるCARD1(CANNOT RESPOND TO DMBQ 1)がキノン化合物の認識を行い、吸器の形成を仲介することが明らかになった。興味深いことに、CARD1は、非寄生植物のキノン化合物感知において、異なる役割を担っていることが分かった。シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)では、DMBQはCARD1依存性の免疫応答を誘導し、この応答が細胞質ゾルのCa2+濃度上昇と防御関連遺伝子の発現亢進を引き起こす。

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