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生態学:西アフリカのサハラ地域とサヘル地域には多数の木がある

Nature 587, 7832

西アフリカのサヘル地域(マリ共和国)。
西アフリカのサヘル地域(マリ共和国)。 | 拡大する

Credit: Timothy Allen / Stone / Getty Images

乾燥地では、高木や低木の大半が、林冠が閉じていない孤立した植物として成長する。こうした非森林樹木は、生物多様性に重要であり、炭素貯蔵の他、ヒトと動物のための食物資源や住居・隠れ家など、数々の生態系サービスを提供している。しかし、こうした地域の非森林樹木の密度を定量化する試みはほとんど行われておらず、そのためサハラ地域やサヘル地域などの乾燥地には高木や低木がほとんどないという見方が広まっている。今回M Brandtたちは、サブメートル分解能の人工衛星画像と畳み込みニューラルネットワークを用いて、西アフリカのサハラ地域、サヘル地域、亜湿潤地帯にわたる総面積130万km2の陸域において、個々の樹木(樹冠サイズが3 m2を超える木本)をマッピングしている。その結果、18億本以上の樹木(1 ha当たり13.4本に相当)が見いだされた。林冠の被覆率は、極乾燥地域では0.1%、乾燥地域では1.6%、半乾燥地域では5.6%、亜湿潤地域では13.3%と、降雨勾配に沿って増大していた。今回のアセスメントは、森林外の樹木を全球的に監視し、劣化、気候変動、貧困の緩和における樹木の役割を調べる方法を提案している。

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