がん：CD4⁺ T細胞におけるTGF-βシグナル伝達の阻害はIL-4依存的様式で腫瘍増殖を制限する

M LiuとM Liたちは、トランスフォーミング増殖因子β（TGF-β）シグナル伝達が持つ腫瘍促進性作用の基礎となる分子事象の解明に取り組んでいる。彼らは今回、TGF-βシグナルをCD4⁺ T細胞から除去すると腫瘍増殖が阻害されるが、CD8⁺ T細胞から除去した場合には腫瘍増殖は阻害されないことを見いだしている。この作用は、腫瘍血管の正常化と、血管外フィブリノーゲンの減少に関連していた。さらに、CD4⁺ T細胞上のTGF-β受容体TGFBR2を欠いたマウスを用いることで、この腫瘍血管正常化はインターロイキン4（IL-4）に依存するが、インターフェロンγ（IFN-γ）には依存しないことが明らかになった。従って、この腫瘍微小環境の応答は効果的な抗腫瘍機構となる可能性があり、ヘルパーT細胞内のTGF-βシグナル伝達は、がん免疫療法の標的となり得ると著者たちは考えている。

目次へ戻る