Nature ハイライト
微生物学:植物の根の発達を支配する細菌
Nature 587, 7832
植物の根を取り巻く微生物相は、主に化学的シグナルの仲介によって、植物の成長を促進的および抑制的活動の両方で調節することが知られている。J Danglたちは今回、無菌のシロイヌナズナ(Arabidopsis)に微生物の人工群集を植え付けるという革新的な手法を用いて、土壌に広く分布する単一の細菌属(Variovorax)が根とシュートの両方の発達を維持するのに必要であることを示している。最大185細菌からなる複雑な群集中にこの細菌が存在するだけで、群集中の他の細菌によって引き起こされる根の生育抑制を回復させられることが分かった。これにはVariovoraxゲノムのこれまで知られていなかった保存された座位が必要で、この座位は植物ホルモンのオーキシンを分解する。オーキシンのレベルは、植物の正常な発達の際には厳密に調節されている。単一の細菌属が、数層の化学的相互作用からなる複雑な群集において、このような強い影響を及ぼしているという知見は、植物の発達における微生物–微生物–植物の情報伝達の重要性をはっきりと示している。
2020年11月5日号の Nature ハイライト
天文学:銀河系内の高速電波バースト
天文学:銀河系内のマグネターからの高速電波バースト
天文学:マグネター起源のγ線バーストと同時には検出されなかったパルス状電波放射
原子核物理学:中性子が原子核からこぼれ落ちる理由
生態学:西アフリカのサハラ地域とサヘル地域には多数の木がある
植物科学:寄生植物の認識
内分泌学:明らかにされた脂肪細胞の不均一性
微生物学:植物の根の発達を支配する細菌
がん:CD4+ T細胞におけるTGF-βシグナル伝達の阻害はIL-4依存的様式で腫瘍増殖を制限する
細胞生物学:細胞死と健康のバランス