Nature ハイライト
Cover Story:タンパク質の能力:ヒトプロテオームの3D構造を極めて正確に予測するAIネットワーク
Nature 596, 7873
タンパク質は生命に不可欠であり、タンパク質の機能の解明にはその3D構造が重要である。これまでに実験的に構造が決定されているのは、ヒトプロテオームの17%にすぎない。今週号では、2報の論文によって、こうしたタンパク質の構造に関する理解が劇的に深まっている。ロンドンに拠点を置くグーグル社の姉妹会社であるディープマインド社のJ Jumperたちは、ニューラルネットワークであるAlphaFoldの最新版について報告している。AlphaFoldは、タンパク質の物理的性質と幾何学的性質に関する直感的知識を取り入れた全く新しいアーキテクチャーを用いて、極めて正確な構造予測を行い、2020年12月に行われた第14回タンパク質構造予測精密評価(CASP14)においてタンパク質構造予測に関する長年の問題の解決法として認められた。著者たちは、ヒトプロテオームの98.5%に相当する2万296のタンパク質にAlphaFoldを適用している。この予測結果は、欧州バイオインフォマティクス研究所との連携により、長いヒトタンパク質や他の20種のモデル生物についてのさらなる予測結果と共に、自由に入手可能である(https://alphafold.ebi.ac.uk)。
2021年8月26日号の Nature ハイライト
原子物理学:共振器QEDにおける強く結合した光と原子と分子のスープ
量子技術:トラップされた陽子の共同冷却
化学:液体水における水素結合の強化の観察
生物地球化学:炭素貯蔵庫としてのアフリカの熱帯山地林
進化学:ウォーレシアの人骨から得られた古代ゲノムDNA
政治学:コンピューター科学が市民議会の公平な代表性を保証する
神経科学:母性行動の社会的伝達
医学研究:VITT抗体によって認識されるPF4エピトープ
免疫学:STINGのリガンド非依存的な活性化を防ぐNPC1の役割
がん:がん細胞の持続生残現象の追跡
構造生物学:触媒として働くRNAのスナップショット