Nature ハイライト
構造生物学:触媒として働くRNAのスナップショット
Nature 596, 7873
クライオ電子顕微鏡法は今や、生物学での多くの構造学的研究で主流となっている。しかし、構造を解くことができる分子のサイズとそれらの組成に関してはいくつかの限界があり、小型分子や何も結合していない状態のRNAの扱いは特に困難とされている。W Chiuたちは今回、彼らが最近開発した手法を用いて、テトラヒメナ(Tetrahymena)リボザイムのアポ型とホロ型の構造を、側鎖と金属イオンのモデルを作成するのに十分な分解能で解いている。得られた構造では、触媒中心の外側の領域を含めたリボザイムの構造全体が捉えられた。活性部位は基質ヘリックスが結合する前にほとんど組み上げられた状態となっているが、基質が結合すると内部のガイド配列が大きく位置を変えることが明らかになった。
2021年8月26日号の Nature ハイライト
原子物理学:共振器QEDにおける強く結合した光と原子と分子のスープ
量子技術:トラップされた陽子の共同冷却
化学:液体水における水素結合の強化の観察
生物地球化学:炭素貯蔵庫としてのアフリカの熱帯山地林
進化学:ウォーレシアの人骨から得られた古代ゲノムDNA
政治学:コンピューター科学が市民議会の公平な代表性を保証する
神経科学:母性行動の社会的伝達
医学研究:VITT抗体によって認識されるPF4エピトープ
免疫学:STINGのリガンド非依存的な活性化を防ぐNPC1の役割
がん:がん細胞の持続生残現象の追跡
構造生物学:触媒として働くRNAのスナップショット