Nature ハイライト
医学研究:VITT抗体によって認識されるPF4エピトープ
Nature 596, 7873
ワクチン誘発性免疫性血栓性血小板減少症(VITT)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するアデノウイルスベクターワクチンに特異的で、まれだが重度の有害事象である。この論文では、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に対するアストラゼネカ社のCOVID-19ワクチン(ChAdOx1 nCoV-19)を接種し、その後VITTと診断された5人の血清中の抗体によって認識されるエピトープが明らかにされている。このエピトープは、活性化した血小板から放出されるサイトカインである血小板第4因子(PF4)上のヘパリン結合部位に相当する。著者たちは、これらのワクチンによって誘導された抗PF4抗体が、ヘパリン起因性血小板減少症の患者における抗PF4抗体よりもPF4やPF4–ヘパリン複合体に対してより強力な結合反応を起こすことを示し、これがFcγRIIa依存性の血小板の活性化を増強し、その結果、凝固が起こる原因となり得ることを示唆している。
2021年8月26日号の Nature ハイライト
原子物理学:共振器QEDにおける強く結合した光と原子と分子のスープ
量子技術:トラップされた陽子の共同冷却
化学:液体水における水素結合の強化の観察
生物地球化学:炭素貯蔵庫としてのアフリカの熱帯山地林
進化学:ウォーレシアの人骨から得られた古代ゲノムDNA
政治学:コンピューター科学が市民議会の公平な代表性を保証する
神経科学:母性行動の社会的伝達
医学研究:VITT抗体によって認識されるPF4エピトープ
免疫学:STINGのリガンド非依存的な活性化を防ぐNPC1の役割
がん:がん細胞の持続生残現象の追跡
構造生物学:触媒として働くRNAのスナップショット