知能と脳の大きさの関係の探究には長い歴史があり、論争が続いている。米国の神経科学者たちからの今回の報告で、この議論が新たな方向に向かいそうだ。小児期・青年期に起こる脳の形態変化と知能の間には関連があり、能力の高い子どものほうが、この形態変化が顕著に現れることが明らかになったのである。 P Shawたちは307人の子どもについて、小児期から成人に達するまでの成長期間に、脳を磁気共鳴画像法(MRI)を用いて数回調べた。すると、知能の高い子どもでは皮質の特定の部分が7?11歳にかけて厚くなり、その後10代の間に薄くなるという独特な変化パターンがみられた。同様の変化はほかの一部の子どもでもみられたが、知能が非常に高いグループのほうが変化が顕著だった。知能は、言語知識、非言語知識、論理的思考のテストで測定した。 今回の結果が示すように、知能と関連があるのは脳の全質量ではなく、青年期に脳がどのように変化するかだとShawたちは述べている。「頭のいい」子どもは、単にある年齢の時に脳の灰白質が多いか少ないかだけによって賢くなるわけではないのだという。知能はむしろ、皮質の成熟の動的性質に関連しているらしい。