非結晶原子クラスター中のどこに原子があるかを計算する方法が今週号に報告されている。 結晶中の原子の位置はX線結晶学によって調べることができるが、非結晶材料の原子構造の解明は困難である。一般的に、材料全体にわたって原子配列が周期的である、つまり何度も繰り返されている場合にのみ、材料の構造をX線または中性子線を用いて詳しく調べ、原子位置の精密かつ正確な情報を得ることができる。しかし今日、化学や材料科学、技術の分野で関心が集まりつつある「ナノ構造」材料では、原子が集まってわずか数?数百ナノメートルの単位を形成しているため、周期性がみられない。 S Billingeたちは、そのようなナノ構造から得られるX線または中性子線の散乱パターンに、原子の位置の解明に必要な全情報の形跡が含まれている可能性を示している。Billingeたちは、最初の推測が大雑把で、わかるのはナノスケール原子クラスター中で数個の原子の存在場所だけという場合でも、散乱データによって徐々により確かな推測へと「導く」ことができ、最終的には原子スケールの構造を一意的に示すことが可能な方法を示している。この方法では、候補となる構造の「リーグ表」が作成され、計算の進行にともなって常時更新される。リーグ戦を戦うサッカーチームのように、優秀な候補は昇格し、芳しくない候補は降格されるのだ。Billingeたちはこの方法をスペインのサッカーリーグの名称であるLa LigaにちなんでLigaアルゴリズムと名づけている。