土星の環に微衛星が存在することは理論から予測されていたが、これまで観測されたことがなかった。しかし、その証拠が今回初めて見つかった。 一般に、土星の環は彗星や小惑星との衝突で氷の衛星が破壊された後にできたと考えられている。こうした衝突からは、数キロメートルの塊からほんの数センチメートル程度の小さな粒子まで、さまざまな大きさの破片ができたはずだ。 直径10メートルよりも小さい粒子は見つかっており、数キロメートルの大きさをもつパンとダフニスという1対の衛星はA環の中に間隙を作っている。しかし、この中間サイズの岩石はこれまで発見されていなかった。 M Tiscarenoたちは、環を作っている物質中にプロペラ状の間隙がいくつかあるのを発見し、これらが直径100メートル程度の微衛星によってできたと考えている。この発見は、衛星の破壊で環ができたとする理論を裏づけるものだ。「このプロペラ構造の発見は、環の中に埋もれた微衛星の数を推定するまたとない機会を与えてくれる」とF SpahnとJ SchmidtがNews and Viewsで語っている。