Nature ハイライト 植物:ケイ素輸送体が見つかった 2006年3月30日 Nature 440, 7084 イネでケイ素の取り込みを制御しているタンパク質を日本の研究グループが同定した。この種の輸送体が高等植物で発見されたのは初めてのことで、これによってケイ素の取り込み量が大きく、種々のストレスへの抵抗性が改善された作物を遺伝子組み換えで作り出せる可能性がみえてきた。 イネは最大で乾燥重量の10%までケイ素を集積でき、ケイ素は葉や茎、もみがらの表面に沈着する。ケイ素の働きで植物体は倒れにくくなり、病虫害への抵抗性が高まり、集光性が向上し、蒸散による水分損失を最小にすることができる。 J F Maたちは、ケイ素取り込み能を欠く変異イネについて調べ、植物の根にみられるケイ素輸送体をコードする遺伝子であるLow silicon rice 1(Lsi1)を見つけた。ケイ素は骨や結合組織の発達に重要であり、遺伝子組み換えでケイ素含量の増大した植物は、人間のケイ素摂取も改善できるのではないかとMaたちは考えている。 2006年3月30日号の Nature ハイライト 神経:「頭のいい」子を作るのは何? 植物:ケイ素輸送体が見つかった 宇宙:土星の環の中にすき間を作る見えない微衛星 進化:カラフルな「ひげ」が助け合いの社会を生む 物理化学:結晶のいらない結晶学 物理:粒子が逆向きに動く仕組み 目次へ戻る