Nature ハイライト 物理:3つ一緒でも手はつながない 2006年3月16日 Nature 440, 7082 アイザック・ニュートンは、1個または2個の物体が物理的な力を通じてどのように相互作用するかについてよく知っていた。また、3個以上の物体が関係するようになるとこの問題が極めて複雑化することも理解していた。ニュートンの重力理論は、1個の惑星が太陽の周りでどのような軌道を描くかは説明できるが、この系にさらに惑星を1個加えたとたん、この問題の正確な数学的解は得られなくなってしまう。 しかし今回、H-C Nägerlたちは、きちんと解ける「3体問題」が少なくとも1つあることを明らかにした。彼らは、ロシアの物理学者V Efimovが1970年に行った、ボソンとよばれる素粒子3個のふるまいに関する予測が正しいことを初めて実験的に実証した。 ボソンは、ある種の原子が共有する特別な量子力学的性質を示す粒子である。Efimovは、ボソン3個のうち2個の間に束縛状態ができない場合でも、3個すべてが袋の中に一緒に入れられたかのような、いわゆる3量体としてゆるく結合するだろうと予測した。今回Nägerlたちは、絶対零度にごく近いところまで冷却したセシウム原子気体にこのEfimovの3量体が存在することを示す証拠を得たのである。 2006年3月16日号の Nature ハイライト 進化:羽毛恐竜の仲間なのに羽毛のない恐竜 宇宙:銀河系にもあった「DNA」のような二重らせん 構造生物学:ホタルの色の秘密に光 医学:アルツハイマー病初期の徴候 物理:3つ一緒でも手はつながない 生態:生物保全活動の費用対効果を最大にするには 目次へ戻る