Nature ハイライト 構造生物学:ホタルの色の秘密に光 2006年3月16日 Nature 440, 7082 ホタルが仲間どうしの交信に使う鮮やかな黄緑から黄橙色の光は、昔から人々の心を引きつけてきた。今回、このホタルの「生物発光」の仕組みの解明が一歩進んだ。 加藤博章たちは、ホタルの生物発光反応にかかわる酵素ルシフェラーゼが発光色を制御する仕組みを明らかにした。この発光過程では、化学エネルギーを光に変換する効率がほかに類をみないほど高い。そのため、ルシフェラーゼが実験で「検出装置」として使われることも多い。加藤たちは今回、発光色制御の鍵となるアミノ酸(イソロイシン)周辺のコンホメーションが特異的に変化することを明らかにした。ルシフェラーゼ中の単一のアミノ酸が置換されると発光色が変化することは以前からわかっていたが、なぜ色が変化するのかはこれまで謎のままだった。今回見つかった仕組みは、ほかの昆虫のルシフェラーゼにも共通すると思われる。 2006年3月16日号の Nature ハイライト 進化:羽毛恐竜の仲間なのに羽毛のない恐竜 宇宙:銀河系にもあった「DNA」のような二重らせん 構造生物学:ホタルの色の秘密に光 医学:アルツハイマー病初期の徴候 物理:3つ一緒でも手はつながない 生態:生物保全活動の費用対効果を最大にするには 目次へ戻る