Nature ハイライト

生態:性は種の分離を維持する

Nature 484, 7395

種の共存は、種どうしの生息域の重なりを低減するような仕組みによって促進される。性選択はそうした仕組みの1つだが、通説では、生態的に同じ広がり方をする複数の種を別々にしておくには性選択だけでは不十分だと考えられている。こうした考え方に対して、今回新たな理論的研究から疑問が投げかけられた。2つの条件が満たされれば、生態的に差がなく生息域が重複していても、性選択によって種が別々のまま長期間共存可能であることが実証されたのである。その2つの条件とは、空間内で環境収容力が一様でないこと、および配偶者の探索にコストがかかることで、いずれも自然の生態系では一般的な条件である。このモデルは、マラウイ湖やビクトリア湖のシクリッド魚類のように、主として性的特徴に差異があるように見える非常に近縁な種群で長期的共存が維持される仕組みについての新たな説明となる。

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