Research Press Release
新薬の治験結果を予測する
Nature Genetics
2015年6月30日
疾患に関する遺伝的関連研究の結果を薬物標的の選定に利用すれば、新薬開発の成功率が倍増する可能性がある。
開発中の新薬の半数以上は、マウスなどの動物モデルを用いた実験室での研究から予想された治療効果が臨床試験で確認できず、頓挫している。今回、M Nelsonたちは、薬剤開発過程の早い段階で別の情報源を利用することで、その成功率を高められないか検討した。Nelsonたちは、特定の疾患の発症リスクと有意に関連する遺伝子または遺伝子バリアントを同定する遺伝的関連研究に着目した。遺伝的関連が認められても、因果関係が必ず存在することにはならないが、従来から用いられている薬物選定方法と組み合わせて用いることで、正しい薬物標的を選定する確率を高められる可能性がある。
Nelsonたちは、数々の遺伝学的研究をもとに、遺伝子と疾患の関連をカタログ化し、新薬の開発試験との相関を調べた。その結果、成功した新薬(最終的に特定の疾患の治療薬として承認された薬物)は、その疾患またはそれに伴う形質と関連するというエビデンスが報告されている遺伝子を標的としている可能性が高いことが判明した。Nelsonたちは、薬物標的を選定する際に遺伝的関連データを適用すれば、成功率が有意に高くなる可能性があると推論している。
doi:10.1038/ng.3314
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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