【行動】金融市場での冒険的行動に対するホルモンの影響
Scientific Reports
2015年7月2日
ホルモン(コルチゾールとテストステロン)の濃度の短期的変化が、男性の金融面での決断に影響を及ぼす可能性のあることが明らかになった。つまり、金融市場を模倣した実験におけるトレーダーの冒険的行動と価格の不安定化が、被験者のホルモン濃度から予測できることが示唆されたのだ。ただし、著者は、実験結果を現実の金融市場に当てはめることの難しさを指摘している。この結果についての報告が、今週掲載される。
今回、Aldo Rustichiniたちは、男女合計142人を被験者として、自然に生じるコルチゾールとテストステロンの濃度を測定し、資産市場のシミュレーション実験における被験者の売買行動と価格の不安定化の差異を評価した。その結果、男性の場合に、コルチゾール濃度の高さが売買活動の増加、価格設定の誤り、全般的な価格の不安定化と関連していた。次に、若い男性にコルチゾール(34人)、テストステロン(41人)のいずれかを投与してから売買のシミュレーション実験に参加させたところ、これらのホルモンの濃度の上昇とリスクの高い資産に対する投資額の増加に相関性のあることが判明した。
Rustichiniたちは、リスクを取りたいという気持ちにコルチゾールが影響を及ぼし、将来の価格変動に対する楽観性がテストステロンによって高まり、その結果として、被験者が株価上昇を予想する可能性が高くなるという仮説を示している。ただし、この仮説を確認するには、さらなる研究が必要とされる。
doi:10.1038/srep11206
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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