Research Press Release
米国ニューイングランド地方での気温の変動と死亡率
Nature Climate Change
2015年7月14日
2000~2008年の夏と冬に生じた気温の異常が、米国ニューイングランド地方に居住する65歳以上の人の死亡率上昇と関連していたことが明らかになった。今回の研究は、1つの季節での気温の変動幅が、特に暑い夏や寒い冬と同程度の影響を死亡率に及ぼすことを示唆している。この結果について報告する論文が、今週のオンライン版に掲載される。
今回の研究で、Joel Schwartzたちは、米国の公的医療保険制度「メディケア」のデータを用いた。このデータには、加入者全員の年齢、人種、性別だけでなく、死亡日の情報が含まれている。Schwartzたちは、2,740,308人の住民と居住地域の郵便番号別の平均気温データと気温変動データを相互参照して、気温の変化が死亡率に及ぼす影響を推定した。
その結果、温暖な地域に居住していることが夏と冬の死亡率の低下と関連していたが、1つの季節での気候の変動幅が大きいと死亡率が上昇することも判明した。Schwartzたちは、気温の変動幅が大きい地域に居住していると運動といった行動の変更が難しく、それが死亡率の上昇の一因となった可能性があると推論している。
今回の研究は、気候変動が生じると季節ごとの天候の予想が難しくなり、各地域の住民がそれまで順応していた気温条件が著しく変わるために、死亡率が影響を受ける可能性があることを示唆している。
doi:10.1038/nclimate2704
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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