化石燃料補助金改革による各種サービスに対するユニバーサルアクセスの実現
Nature Climate Change
2015年7月24日
化石燃料に対する補助金を改革すれば、多くの国々で水道と衛生設備、電気に対するユニバーサルアクセスを運営するための十分な資金が得られるだけでなく、世界全体の温室効果ガス排出量の削減にも役立つ可能性があることを示唆する研究論文が、今週掲載される。化石燃料補助金をインフラ開発に転用することで、現在の世界全体に見られるインフラへのアクセスの格差を大きく是正できる可能性もある。
今回の研究で、Michael Jakobたちは、世界全体で年間5500億米ドル(約66兆円)にのぼっている化石燃料補助金の分析を行った。その結果、2015~2030年の化石燃料補助金として推定される8兆2000億米ドル(約980兆円)のほんの一部を転用することで、重要な製品とサービスに対するユニバーサルアクセスを実現できるだけでなく、重要な環境面のメリットを享受できることが明らかになった。
こうした転用に必要な資金が化石燃料補助金に占める割合は、国によって異なっている。ナイジェリアでは、2015~2030年の化石燃料補助金のわずか4%があれば水道に対するユニバーサルアクセスが実現できる一方、中国では化石燃料補助金の約50%が必要になると推算された。また、インドでは、同じ15年間の化石燃料補助金の18%を投資すれば、全国的な衛生設備の費用をまかなうことが可能だとされた。Jakobたちは、エネルギー価格の短期的高騰を防ぐため、こうした改革は徐々に行われる必要があると考えている。
また、Jakobたちは、化石燃料補助金の別の使い道を明確にすれば、この補助金自体の改革、そして最終的には気候変動に取り組むための行動の規模拡大に道が開ける可能性があると主張している。
doi:10.1038/nclimate2679
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