【地球科学】鉄器時代のアフリカに地球磁場に関する手掛かりがあった
Nature Communications
2015年7月29日
西暦1225~1550年に地球の磁場が急激に変化したことが、鉄器時代の構造物の焼け残った床から採取された試料に明確に示されているという報告が、今週掲載される。鉄器時代の人々は構造物を燃やす儀式を行っていたが、そうして燃やされた構造物の床の岩石が磁気方位を有するようになったため、当時の地球磁場の記録となった。著者であるJohn Tardunoたちは、このことが最近の地球磁場の強度の変化の解釈に重要な意味を持つと考えている。
最近になって地球の双極子磁場が急激に減衰していることが、一般市民の想像力をかき立てている。過去160年間に南半球の磁場強度が低下しており、磁北と磁南が入れ替わる地磁気の逆転が起こる可能性を指摘する者もいる。しかし、こうした変化に関しては、長期間の観測データがないために理解が限定的なものとなっている。
今回、John Tardunoたちは、アフリカ南部の鉄器時代の遺跡の調査を行い、保存されていた小屋と穀物貯蔵庫、家畜用囲いの焼け跡から採取された磁気方位を有する試料を使って、約600年間の記録を作成した。この試料からは、地球の磁場が急激に変化し、強度が大きく低下した時期があったことが明らかになり、磁場の挙動の変化が最近だけの特徴ではないことが示唆されている。こうした変化の原因について、Tardunoたちは、アフリカ南部の地下深くの核マントル境界の構造と組成の異常を挙げており、核の流れに渦が生じ、それが磁束の排除を引き起こし、磁場の方向と強度が急激に変化するという考え方を提示している。
doi:10.1038/ncomms8865
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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