Research Press Release

【がん】がんを殺す細胞を磁場によって病巣に送り込む

Nature Communications

2015年8月19日

臨床用の磁気共鳴画像化(MRI)システムを用いることで、がんを殺す細胞を腫瘍に移動させて、腫瘍の増殖を減らせることがマウスの実験で明らかになったという報告が、今週掲載される。この新知見は、MRIシステムによって生じた磁場によって特定の細胞を誘導することが治療目的に資することを示唆している。

病院内で広く用いられているMRIスキャナーは、強い磁場を用いて高解像度の解剖学的画像を生成するため、体内の腫瘍の位置を明らかにする上で有用だ。今回、Munnita Muthana、Aneurin Kennerleyたちは、腫瘍細胞に選択的に感染し、死滅させるウイルスを持つマウスの免疫細胞に酸化鉄ナノ粒子を導入し、こうして磁化した免疫細胞を前立腺腫瘍のマウスに注入した。次にMuthanaたちは、MRIスキャナーを使ってパルス状の磁場勾配を生成して、がんを死滅させる細胞を前立腺がんや肺に転移したがんに誘導し、前立腺腫瘍の増殖を減少させるという全体的な効果を得た。

こうした磁場は、現行の臨床用MRIスキャナーによっても作り出せるが、今回発表された方法のヒトへの有効性ついては今のところ明らかではない。

doi:10.1038/ncomms9009

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

「注目のハイライト」記事一覧へ戻る

プライバシーマーク制度