Research Press Release
アメリカとアジアにおける厳冬と、北極温暖化の個別のホットスポットに見られる関連性
Nature Geoscience
2015年9月1日
北アメリカと東アジアの厳冬が、共に北極の温暖化と関連しており、各地域は特徴的な温暖化のパターンに関連しているという報告が、今週掲載される。この結果は、近年の北極地域における急速な温暖化の、上記両地域における異常な厳冬頻発への寄与を示唆している。
バレンツ-カラ海秋季における海氷減少が北半球の大気循環に及ぼす影響と、中緯度の大陸全体に見られる停滞性の厳冬への寄与については、これまでにも示唆されていた。しかしながら、この機構については解明が進んでおらず、議論の的となっている。
Jee-Hoon Jeongたちは、1979~2014年の観測に基づくデータに、互いに独立して現れる北極温暖化の強い空間パターンを2つ同定した。東アジアへの厳冬到来のおよそ15日前には北極バレンツ-カラ海で異常な温暖化が観測されており、一方、北極海のさらに東の東シベリア-チュクチ海における別の温暖化のパターンが、カナダとアメリカが厳寒に見舞われたおよそ5日前に観測されていた。
研究者たちはまた、気候モデル・シミュレーションを用いて北極温暖化と中緯度寒冷化を関連づける大気の高気圧と低気圧計の配置に見られる特定の変化を同定し、北極の地域的な温暖化の分布の理解は、北アメリカと東アジアにおける極度な厳冬の危機評価に役立つと結論している。
doi:10.1038/ngeo2517
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