Research Press Release

ここ500年で最低レベルに落ち込んだシエラネバダ山脈の雪塊量

Nature Climate Change

2015年9月15日

米国カリフォルニア州のシエラネバダ山脈の雪塊量が過去5世紀間で最低のレベルになったという報告が、今週のオンライン版に掲載される。こうした雪塊量の減少は、農業用水と都市用水の水源に影響し、水力発電に悪影響を及ぼし、野火の危険を高める可能性が高いが、カリフォルニアの深刻な干ばつとも関係がある。今回の研究結果は、カリフォルニアの干ばつの深刻さを確認するものとなっている。

シエラネバダ山脈の雪は、例年4月まで積もり続け、以降は降水量の減少と気温の上昇によって雪塊が溶け始める。計測器の記録によれば、2015年4月1日現在のシエラネバダ山脈の雪塊量は、過去(1951~2000年)の平均値の5%まで落ち込んでいる。ただし、これよりも長期的な観点で近年の雪塊量減少を評価できる過去の記録は得られていない。

今回、Valerie Trouetたちは、冬季の降水量を反映する樹木年輪時系列と冬季の気温を反映する別の代理指標を組み合わせて、4月1日時点のシエラネバダ山脈の冬季雪塊量を過去500年間にわたって再現した。その結果、2015年の記録的に少ない雪塊量が異常な現象であり、その再来周期が高地で95年、冬の温暖化が雪塊量に及ぼす影響が顕著な低地で1,000年と推定された。

こうした新知見は、カリフォルニア州の主要な天然の貯水システムが危険な状態にあることを明確に示している。

doi:10.1038/nclimate2809

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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