【動物学】高圧放電を使って獲物の位置を捉えるデンキウナギ
Nature Communications
2015年10月21日
デンキウナギの発する高圧電流が、狙った獲物を仕留めるための「スタンガン」と獲物の動きを追うための高精度デバイスの両方に利用されていることを明らかにした論文が掲載される。感覚系と武器という二重の機能は珍しく、デンキウナギの狩猟行動がこれまで考えられていたよりも相当に複雑なものであることが示されている。
デンキウナギの高圧放電は、狙った獲物の全身の動きを止め、全ての随意運動を一時的に停止させて、獲物を気絶させるために利用されている。しかし、動けなくなった獲物の位置を正確に特定するためにデンキウナギがどのような感覚フィードバックを使っているのかは解明されていなかった。
今回、Kenneth Cataniaは、デンキウナギが獲物を狙う時に高圧放電が関係しているかどうかを調べるために、体内に電気を流すとピクピク動くようにして本物の獲物の動きに似せた魚の死骸をデンキウナギに示す実験を行った。他の感覚刺激(視覚的刺激、化学的刺激、機械感覚刺激)を排除した場合に、デンキウナギが獲物を攻撃するのは導電体が存在している時だけで、導電体からのフィードバックがないと、獲物への攻撃は常に失敗することが分かった。
このフィードバックを介して獲物が見つかると、デンキウナギは、高圧高周波の電流を一斉に発し、これを手掛かりとして正確な攻撃を行う。この高精度な獲物感知機構は、反響定位を行うコウモリの終期採餌音(terminal buzz)と数々の類似点がある。コウモリは、獲物に接近すると、小刻みに音を発して感覚フィードバックとして利用している。
doi:10.1038/ncomms9638
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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