Research Press Release
地球科学:砂漠に埋もれた古代の川
Nature Communications
2015年11月11日
西サハラの砂漠には、かつて広大な河川網があったことを明らかにした論文が、今週掲載される。この新知見は、過去と将来の気候の下でのアフリカ大陸に関する理解に対して重要な意味がある。
現在の西サハラには主要な河川系はなく、絶えず移動する砂丘しかない。ところが、最近発表された知見で、過去に河川系が存在していたことが示唆されている。河川によって運ばれた微細粒が深海で発見され、西サハラ沖の大陸棚に掘り込まれた大規模な海底谷も発見されたことで、西アフリカに主要な河川系が存在していたことが示されている。しかし、陸上のそうした広大な河川網の直接証拠は得られていない。
今回、Charlotte Skoniecznyたちは、地球上空の軌道を周回し、砂丘のような深さ数メートルの物質を探査できるレーダー衛星の画像を用いて、砂丘の下に隠れている地質学的特徴の位置を明らかにした。Skoniecznyたちは、この手法を用いて、全長約520 kmの広大な古代の河川網の存在を明らかにした。この河川網は、隣接する海岸線上にすでに同定されている海底峡谷とほぼ完全に一致している。
この新知見は、西アフリカ沖の堆積物記録の解釈、そして、今よりも雨が多く、もしかすると緑も多かったかもしれない古代のサハラ砂漠の解明にとって重要な意味を持っている。
doi:10.1038/ncomms9751
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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