Research Press Release
褐色脂肪への分化と筋肉への分化のバランスをとるマイクロRNA
Nature Cell Biology
2011年7月11日
マイクロRNAファミリーに属する小型の非コードRNAが、褐色脂肪組織の形成を促進することが報告された。哺乳類では、褐色脂肪は脂質を燃焼して熱を産生しており、肥満を防止する可能性があるので、今回の知見は肥満や肥満に関連した疾患の治療法開発に役立つかもしれない。
脂肪細胞の一種である褐色脂肪細胞は、筋肉または脂肪のどちらにもなりうる前駆細胞の分化によって生じると考えられている。H Lodishたちは、褐色脂肪細胞が発生する際には、マイクロRNAのmiR-193bとmiR-365の発現が増大することを見いだした。これらのマイクロRNAの機能を阻害すると、褐色脂肪細胞の発生が停止し、その一方で筋肉に関連するマーカーの発現が誘導されることもわかった。逆に、これらのマイクロRNAの発現を増大してやると細胞では筋肉への分化プログラムが停止し、褐色脂肪細胞の形成が増加した。
miR-193bとmiR-365が肥満治療の標的になるかどうかを明らかにするには、これらのマイクロRNAの性質を動物モデルでさらに調べる必要があるだろう。
doi:10.1038/ncb2286
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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