地球の隠れた地下水を明らかにする
Nature Geoscience
2015年11月17日
地球の表面下にある水の量と分布を全球的に定量化した結果が今週のオンライン版で報告される。この研究は、過去50年間満たされ続けて水循環において重要な役割を果たす現代の地下水が、地下水全体の10分の1以下であることを示している。
人類と生態系は地下水に依存しているにもかかわらず、この資源の量と分布は全球規模では明確になっていない。特に、現代の地下水の全球的見積もりは不足している。これは、数百万年にわたって貯蔵された地下水よりも、現代の地下水は再生可能であり地球変動に対して影響を受けやすいため問題となる。
Tom Gleesonたちは、約50年前に熱核実験により地下水に取り込まれた放射性トリウムの測定を含むさまざまなデータセットを地下水モデルと組み合わせて、大陸地殻上部に貯蔵された地下水の量と分布を見積もった。著者たちは、どの時代でも地下水の全量はおよそ2300万立方キロメートルであり、これは全球の陸地表面を180メートルの深さで覆うのに十分な量であると推定した。しかしながら、現代の地下水は地下水全体の6%以下であることも分かった。現代の地下水は、活動的な水循環の最大の構成要素ではあるが、地中には表面の水よりも3倍の現代の地下水が隠されていて、それは全球の陸地表面を3メートルの深さで覆うのに十分な量となっている。
さらに著者たちは、現代の地下水の分布は均一ではなく、その分布は地理的および環境的条件に依存している(例えば乾燥地域の下にはほとんど存在しない)ことを発見した。著者たちは、最近充填された地下水貯蔵量を同定することは、特に汚染や土地利用による変化によって影響を受けやすい地域を見つけ出すことに役立つと推論している。
同時に掲載されるNews & Views記事で、Ying Fanは、「地下水に対するこの全球的な観点は、人為的および自然的環境の変化に最も敏感な現代の地下水資源は有限であるという意識を提起すると期待できる」と述べている。
doi:10.1038/ngeo2590
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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