注意持続能力を反映する脳内マーカー
Nature Neuroscience
2015年11月24日
健康な成人が注意を維持する能力を特定の脳内ネットワークの強さから予測できることを報告する論文が、今週のオンライン版に掲載される。今回の研究では、脳内の接続性のパターンから作成されたネットワークモデルによって子どもと青年の注意欠陥を予測できることも実証された。
一部の精神作用(例えば、素早い推論や作業記憶)を実行する能力は確実に測定できるようになっているが、注意に関する標準化された尺度を決めることは難しい課題となっている。今回、Monica Rosenbergたちの研究チームは、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて、注意の持続(難易度の高い課題に集中する能力)を示す脳内の尺度を明らかにした。今回の研究では、最初に25人の参加者(年齢18~32歳の12人の男性と13人の女性)が安静にしている時と継続的な注意の集中を要する課題に取り組んでいる時の脳活動記録を行った。それをもとに脳内ネットワークの接続性の強さと課題の成績の関係がモデル化され、それを利用して、モデル作製にデータが利用されていない参加者の注意能力を予測できることが分かった。この予測は、課題を実行している際の接続性に基づくネットワークの強さからでも安静時の接続性に基づくネットワークの強さからでも可能だった。
これとは別に注意欠陥多動性障害(ADHD)の患者と健常者からなる113人の子どもと青年(8~16歳)のグループから得られたデータの解析も行われ、このネットワークの強さのモデルを使って、臨床で用いられるADHD評価尺度によって評価される注意欠陥の重症度を予測できることもRosenbergたちは明らかにしている。
また、Rosenbergたちは、この研究アプローチで、他の認知能力と臨床症状を予測できる脳内マーカーを発見できる可能性がはっきりしたとも述べている。
doi:10.1038/nn.4179
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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