ペチュニアが新たな花粉媒介者を引きつけるのに役立つ単一遺伝子変異
Nature Genetics
2015年12月15日
ペチュニアの花が受粉のために引き寄せるのは、夜間のスズメガか日中のハチドリか、それを制御する遺伝子が見つかった。植物が新たな花粉媒介者との協力関係を生み出す1つの方法が明らかになった。
被子植物は、動物(例えば、ハチやコウモリ)に花粉を運んでもらう。こうした協力関係を構築するためには、色や匂いといった花の形質を発達させて、適切な花粉媒介者を引きつけることが必要だ。植物は進化の過程で、そうした形質を変化させることで新たな花粉媒介者を得てきたのだろうが、花粉媒介者の変化がどのように起こるのか、その過程はよく分からなかった。
今回、Cris Kuhlemeierの研究グループは、南米の3種のペチュニアが夜行性花粉媒介者を誘引するための重要な形質であるUV(紫外線)吸光度について、その遺伝的基盤を調べ、花粉媒介者の変化がどのように起こるのかを解明した。3種のペチュニアの中で最も祖先種に近いPetunia inflataは、小さな紫色の花をつけ、ハチのみが花粉を運ぶ。Petunia axillarisは、白い花をつけて、夜行性のスズメガを引き寄せる。Petunia exsertaは、鮮やかな赤い花をつけ、ハチドリが花粉を運ぶ。
この3種のうち、P. axillarisのUV吸光度が最も高いが、P. axillarisの中でも、UV吸光度のより高い方にスズメガはより強く引きつけられる。Kuhlemeierたちは、この3種のUV吸光度に差異が生じたのは、1つの遺伝子MYB-FLの変異によって説明できると考えている。つまり、P. inflataから分岐したペチュニア種の一部にでは花粉媒介者がハチからスズメガに変わったが、そのペチュニア種には、MYB-FL遺伝子の変異があり、花に含まれる主要なクラスのUV吸収性化合物の濃度が大きく上昇していた。また、その後のP. axillarisからP. exsertaへの移行において花粉媒介者がスズメガからハチドリに変わったが、その際には別の変異によってMYB-FL遺伝子が不活性化していたのである。
doi:10.1038/ng.3462
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