【惑星科学】月面上に新種の玄武岩が見つかる
Nature Communications
2015年12月23日
月の表面で新種の岩石が発見されたことを報告する論文が、今週掲載される。中国の「嫦娥3号」による無人ミッションで、米国のアポロ計画とソ連のルナ計画から約40年ぶりの月面着陸に成功し、これまで詳細な分析が行われていなかった火山の表面に関するデータが着陸地点の周辺で得られた。
月面に特定の複数種の火山岩が存在することは、これまでの月周回衛星による測定結果から示唆されていたが、そのような火山岩の試料を直接採取することは不可能だった。それを可能にしたのが2013年に月面着陸に成功した嫦娥3号で、付属の月面車「玉兎号」がインブリウム盆地の「紫微」と命名されたクレーターの周辺を移動して、測定を行ったのだ。今回、Zongcheng Lingたちは、玉兎号に搭載された観測装置によって得られた知見の第一報を公表した。測定の行われた地域は、およそ29億6000万年前に形成された年代の若い地域で、独特な鉱物学的特性が観測されたため、これまでのミッションで試料が採取されなかったのか、月隕石によって観測されていない新種の玄武岩質岩が存在していることが示唆されている。
嫦娥3号の着陸地点は、比較的年代の若い溶岩流の上にあり、天体との衝突によって地中の物質が掘り起こされて地表に現れたと考えられるクレーターが近いことから選ばれた。こうした観測結果は、月の地形上でこれまで未探査の領域に関する画期的なものであり、月面上で最も年代の若い火山に関する知識を深める上で役立つ。
doi:10.1038/ncomms9880
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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